「食品表示」で何がわかるの?
冷凍ギョーザ中毒事件をきっかけに、食品表示の改善へ向けた動きが広がっています。この動きに筆者は期待していますが、それは「あくまで製造者が食品の偽装をしていない」ことがベースです。消費者側が食品表示情報を活用し、購入行動に生かしていくことが大切だと思います。
http://www.news.janjan.jp/living/0803/0803010780/1.php
冷凍ギョーザ中毒事件をきっかけに、行政、大手スーパーなどが食品表示の改善へ向けた動きをみせています。消費者の商品選択の手助けとなる「食品表示」ですが、枠内に書き連ねられた小さな文字から、何を読み取ればよいのでしょうか。
2月21日、東京・千代田区で開催された「うそのない食品を求めて~食品表示で分かること・分からないこと~(主催:東京都消費者月間実行委員会)」から、食品選びに役立つ手がかりを探りました。
参照:
・うそのない食品を求めて~食品表示で分かること・分からないこと~(東京都消費者月間 くらしフェスタ2007)
左:「うそのない食品を求めて」会場(飯田橋セントラルプラザで筆者撮影)。右:原産地表示:パスタはイタリア。烏龍茶は中華人民共和国、台湾。チョコレートは輸入したカカオ豆を国内で加工しているので国産(筆者撮影)。
原産地表示
名称、原材料名、内容量、賞味・消費期限、保存方法、原産国名、原料原産地名、製造者、栄養成分表示……。パッケージの裏側には、消費者に向けられた情報が小さな文字サイズで印字されています。
その表記の内、近ごろ話題にのぼることが多い「原産地表示」ですが、実は少々複雑です。「原産地」とは、商品を大幅に加工した場所のことを指しており、輸入食品の表示にある「原産国名」は製品を加工した国であって、原料がその国で生産されたものか、輸入されたものかを知ることはできません。
これに対して「原料原産地」があります。こちらは文字通り原料の原産地のことですが、加工品の原料は多岐にわたり、すべての原料原産地を記載することは難しいと言われています。
今回、講演をされた藤田技術士事務所の藤田哲(さとし)さんは、「産地の偽称は昔から多かった」と言います。「現在は検査が厳しくなったので減ってはいるが、米のDNA検査から虚偽表示がみつかることや、ウナギは稚魚の輸入先が同じならば(養殖地が海外か、国内か)DNA検査してもわからない」という問題があるそうです。
さまざまな規格マーク(配布資料より)
規格マーク
加工食品のパッケージに規格マークをみつけることがあります。この規格は、認証している機関が独自に定めたものです。それぞれ意味合いが違うので、同じような製品に別々のマークが付いていた時、どちらがより安全な製品かを比較できるものではありません。
藤田さんは「JAS(日本農林規格)は一定の基準は満たしている」という見方を示しています。しかし、「規格の認証にはお金がかかるので、良質なものを作っている中小企業の製品にJASマークがない」例も付け加えています。
宇宙食の安全技法から生まれたHACCPは、近年みられるようになった規格マークですが、以前事件を起こした大企業の工場がHACCP認証されていた事実があり、HACCPマークが付いているから安全、とは言い切れない部分もあります。
原材料名と栄養成分表示(配合量)
原材料名は、使用する原料を食品添加物を含めて、多いものから少ないものの順に表示しています。
あるロースハムの場合、豚ロース肉・食塩……と並び、肉の加工製品らしさを感じさせます。しかし、別のロースハムは、豚ロース肉・糖類・たん白加水分解物・しょうゆ・食塩……と並び、肉以外の水増し原料からハムが出来ていることをうかがわせます。
製品の栄養成分表示から、著しく「たんぱく質が少ないもの」「炭水化物が多いもの」も、肉以外の原料が多く使われているロースハムの判断になるそうです。
EUのQUID(定量的原材料表示)制度によって後出のロースハムを表示すると、名称は「ロースハム類似物」となるそうですが、日本のあいまいな加工食品表示ではロースハムという名称で売られるようです。「日本も(QUID制度のように)重要食品原料と水分を%表示すべきだ」と藤田さんは指摘します。
原材料名と栄養成分表示(塩分・トランス脂肪酸)
健康に気をつけるなら「塩分」「トランス脂肪酸」は確認したいものです。加工食品の塩分を知る方法は、栄養成分表示のナトリウム量から換算すればよいそうです。
ナトリウム量 × 2.5 = 食塩量(WHOは1日5gを推奨)
近年トランス脂肪酸は、心臓疾患のリスクを高めるといわれ、海外のファストフード店で使用を取り止める動き、国内のコンビニエンスストアで使用を低減する動きが出始めています。
トランス脂肪酸が含まれている代表的なものに、マーガリン、ショートニングがありますが、植物油脂にもトランス脂肪酸が含まれる場合があるそうです。トランス脂肪酸は、(マーガリン、ショートニングの原料でもある)植物油脂に元から入っている成分ではなく、加工精製の過程で生じるのだそうです。マーガリン、ショートニング、植物油脂は値ごろなお菓子の原料によく見受けられます。
保存料不使用の表示
コンビニで売られているお弁当に「保存料不使用」というものがありますが、藤田さんは「安全な合成保存料ソルビン酸を少量除く代わりに、保存作用があるアミノ酸のグリシン、pH調整剤、酸味料、ビタミンB1を味の変わらない限度まで添加している」と説明します。
「保存料不使用」は消費者に安全安心の印象をあたえ、企業努力と捉えられますが、このような別の添加物に代えているだけの本末転倒な事例もあるそうです。
◇ ◇ ◇
これまで、家族の安全安心な食のために努力してきたと自負する筆者ですが、食品表示の正しい理解をしていなかったと、改めて気づかされました。
今回の食品表示改善の動きに筆者は期待しています。しかし、それはあくまで「製造者が食品の偽装をしていない」ことがベースです。
そしてまた、EUのQUID制度のように詳細な食品表示になったとしても、消費者側が食品表示情報を活用し、購入行動に生かしていかなければ意味がないとも思います。
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