化学物質による食中毒
金沢大学大学院医学系研究科教授 城戸照彦
輸入頼る現状を再認識
http://hokuriku.yomiuri.co.jp/hoksub7/clinic/ho_s7_08040901.htm
ジクロルボス、メタミドホス、パラチオン、ホレート――。これらに共通する名称は何でしょう? 今ならご存じの方も多いことでしょうが、いずれも有機リン系殺虫剤です。今年になって問題化した中国製冷凍ギョーザによる食中毒事件で、一連の冷凍食品に混入されていた化学物質です。
しかしながら、これらの物質名は必ずしもこれまで一般に普及していたわけではありません。私自身、重金属の中毒について研究していますが、パラチオン以外の物質は今回、初めて知りました。
そもそも多くの人は、食中毒といえば、原因は細菌やウイルスが食品に付着・増殖し、それを食べた人の消化器や、時に中枢神経などに健康被害が発生することとお思いでしょう。食中毒を防止するための法令として食品衛生法がありますが、その中では、原因として食品以外にも添加物、包装容器や玩具など幅広い物質が対象に含まれています。つまり、口から入る物が原因で発生した中毒はすべて該当すると考えて結構です。
そうは言っても、近年の食中毒に関する保健統計を見ると、原因として判明している食品の1位は魚介類で、病因物質の70%以上は細菌です。また、自然毒としてフグやキノコによる中毒があります。化学物質による食中毒は、過去には国内でも粉ミルクにヒ素が混入した中毒がありましたが、近年は添加物以外はまれな状況です。
それだけに今回の事件が大きく取り上げられたのだと思います。この事件の教訓は、我々の身近にある食品がいかに輸入に頼っているかをあらためて再認識させたことです。混入の原因解明や検疫の強化は当面の緊急対策ですが、恒久対策としては自給率をどのように高水準で維持するかが重要だと思います。
(2008年4月9日 読売新聞)
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