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【暮らしナビ】中国産抜きの食生活に挑戦

 中国産の冷凍ギョーザ中毒事件を機に、中国産食材への風当たりが強まっている。食料自給率が落ち込む一方で、食生活の隅々に浸透する外国産食材。すっかり悪者にされた観のある中国産食材だが、今さら中国産なしで食生活は成り立つのだろうか。“食べ盛り”を自負する25歳の記者が3日間、「中国産抜き」に挑戦してみた。(宇田川宗)

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/iwate/news/20080513-OYT8T00084.htm

 【1日目】

 朝7時、テレビのニュース番組にチャンネルを合わせ、新聞を片手に前夜にコンビニで買ったハムレタスサンドをパクリ。慌てて包装紙の表示を見ると、ハム、レタス、タマネギ……。さらに、食品添加物が続く。

 製造元欄にあった盛岡市近郊の食品会社に電話で問い合わせると、男性社員が「タマネギとレタスは国産。ハムとパンは外国産です」と教えてくれた。しかし、中国産かどうかを重ねて尋ねると、「JAS法では、輸入原材料を国内で加工した場合、原産国の表示義務はありません」とちょっととがった声が返ってきた。

 午後2時過ぎ、ハンバーガーショップで昼食。ベーコンとチーズがサンドされたバーガーセットを注文した。原産地を尋ねようとしたが、忙しそうなので、バーガーチェーン本部の相談窓口に電話で問い合わせた。

 レタスは国産、牛肉がオーストラリアとニュージーランド、ベーコンとチーズが米国、パプリカは韓国産だった。「原材料と原産地はホームページで紹介しています」とのことなので、パソコンで見てみると、鶏肉の産地が中国とタイだった。

 遅めの晩ご飯は焼き肉店。国産カルビ5皿を平らげた。しかし、卓上の豆板醤(とうばんじゃん)やニンニクは、「外国産」としかわからなかった。

 【2日目】

 この日は仕事が休み(のはずだが…)。トースト(外国産小麦使用)で朝食を済ませ、2度寝を楽しむと、時計は正午を過ぎていた。昼食は盛岡市内の定食屋で「豚の空揚げ定食」。地産地消が売りのこの店では、米は滝沢産、豚は二戸の佐助豚。みそ汁の具も県産。店主は「地物が一番」と胸を張る。

 夕食は久しぶりに自炊しようと買い物へ。メーン料理に、欧州と北米産小麦をブレンドして作ったイタリア産パスタを選んだ。さらに宮崎産ピーマン、茨城産水菜、青森産ニンニクなどを買い物かごに入れていく。陳列棚には中国産も並んでいた。やはり安い。従業員によると、最近は外国産野菜の買い控えが進み、国産品の割合が増えているという。

 【3日目】

 朝食は黒大豆が原料のシリアルに牛乳。「健康食品なら国産だろう」と想像しながら製造元に問い合わせ。「黒大豆とでんぷんの一部は中国産」との答えに続いて、「中国産で心配な面もあるかと思いますが、契約農家で作っていますのでご安心ください」との説明を受けた。昼はスーパーで買った弁当。野菜は中国産だった。

 夕食は回転寿司。コハダやカレイなど三陸産の魚を中心に注文。テーブルの上には、本醸造のしょうゆと昆布しょうゆ、塩などこだわりの調味料が並ぶ。「ネタはすべて国産です」と、板前さんの威勢の良い声。「でも、しょうゆ原料の大豆やらの産地までは分かりかねます」とのことだった。

 【体験を終えて】

 輸入食品の浸透ぶりを実感した3日間だった。同時に、原産国表示をはじめ、消費者にはわからないことが多いことも実感した。

 財務省によると、07年の中国からの食料品の輸入総額は約9100億円。「野菜や果物を年中、できるだけ安く買いたい」という消費者ニーズを反映した結果だと言える。

 中国産だから危険だというわけでないし、逆に国産品が必ずしも安心だとは限らない。ただ、外国産食材を抜きに食生活を送ることが現実的には難しいことだけは間違いない。

 今まで口にしているものにあまりに無頓着だったことも気付かされた。せめてこれからは、買い物や食事の際には店員に一言尋ねてみることにしよう。

 

【ナビゲーターから】

 岩手で生活を始めて、買い物に行くのが楽しみになりました。スーパーでは、野菜はもちろん、肉も魚も県内でとれたもの。地場産の食材を手に取った時は、何だか得をした感じがします。生産者の名前や写真が表示されているものもあり、都会の生活では味わえなかったことがいっぱいです。豊かな生活の証しとは、「地域が育んだ食べ物をおいしく食べること」。この思いを強める毎日です。

(山口)

(2008年5月13日 読売新聞)

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