【プロジェクトe リサイクルへの挑戦】(2)クボタのメタン発酵ユニット
■焼酎粕からガス
アルコール飲料市場が伸び悩む中、芋や麦などを原料とした本格焼酎と泡盛に対する人気は高まる一方。2006年度の市場規模は02年度に比べると、1・5倍の規模にまで成長した。ただ、各地の酒蔵はブームに“酔える”状況にはない。製造時に発生する粕の海洋投棄が12年までに全面禁止されるからだ。
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200805200070a.nwc
主に鹿児島で生産される芋焼酎の場合、さつま芋を蒸して米をベースにした麹菌を添加して発酵。水を入れて蒸留し完成させる。その際に発生するのが粕で、排出量は焼酎に対して約2倍に上る。
粕の成分は90%以上が水で、2次利用の方法としては酪農家向けの飼料がある。ボイラーによって水分を蒸発させてプラントで飼料化するが、投入する重油は膨大な量。価格も急激に高騰していることから、コスト面での負担感は増すばかりだ。粕は有機物で害はなく、飼料化以外では海に船を出して処分する方法も多い。鹿児島県では排出量の約3分の1が対象となる。ただ、海に投棄すると生態系に影響を与えかねないという理由で、4年後に全面禁止される。
移行期間の措置として、禁止後の具体的な対策を明記すれば投棄が認められるが、低コストで安定的な処理法の確立は喫緊の課題。こうした実情を踏まえ注目を浴びているのが、クリーンエネルギーであるバイオガスを作り出すシステムだ。
クボタが事業化しているのは、膜を使ったメタン発酵ユニット。人間の体に例えた場合、胃と腸、腎臓によって構成されている。具体的な流れを見ると胃に相当する槽で酸発酵を行い、次に腸に当たる機器でメタン発酵を実施。その際に発生するのがバイオガスと廃液だ。このうち廃液に関しては、腎臓の役割を果たす高性能の膜で安定発酵の阻害要因となるアンモニアを含んだ水と、メタン菌を分離。メタン菌は再び機器に戻され発酵の活性化を促す。
結果として廃棄物は大幅に減って、バイオガスはボイラー燃料の一部として再利用できる。トータルの処理コストは大幅に削減。芋焼酎のケースでは5分の1~10分の1のレベルまで低下するという。二酸化炭素(CO2)の排出量も削減される。
全国酒類コンクールの芋焼酎部門で1位に輝いた「白金乃露」を製造する白金(しらかね)酒蔵(鹿児島県姶良町)も、クボタのシステムを採用した酒蔵。飼料化などと比較した上でメリットがあると判断し、導入を決めた。
粕の海洋投棄禁止によって一気に注目が集まった、クボタのシステム。横山雅文・膜ソリューション事業ユニット長によると、同システムは「食品系廃棄物には基本的に全部対応できる」といい、すでに納入実績もある。食品関連会社にとって再資源化と燃料コスト削減の推進は喫緊の課題。バイオガスを生成するメタン発酵ユニットの出番は今後、大いに増えそうだ。(伊藤俊祐)
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