増える食品偽装事件
佐々木記者:ウナギ、牛肉、コメ、冷凍野菜、タケノコ、ハマグリ……。
ポン:おなかすいたの?
ジャン:食欲の秋ね。
佐々木記者:ちがうんだ。食品の偽装事件が、ますます増えていると聞いて、最近問題になった食べ物を思い出していたんだ。
http://www.asahi.com/kids/janken/TKY200909290210.html
●産地偽装、去年1年間を半年で上回る23件
◆外国産を高くて人気の国産に
◆違反が見つかっても緩い罰則
◆消費者のきびしい目が大切
ポン:ショクヒンギソウって何だっけ?
佐々木記者:外国産なのに「国産」と表示したり、国産は国産でも、高級品として人気のある産地のものに見せかけて高く売ったり。
ケン:産地偽装だね。
佐々木記者:ほかにも、消費期限などを書きかえたり、健康に害のある物質がふくまれているのに、売ってしまったりするケースもある。
ジャン:食品偽装は減っていないの?
佐々木記者:警察庁が、2009年の上半期(1月~6月)の、食品の偽装事件の件数(検挙数)を発表した。産地などの偽装は23件。統計のある02年以降で一番多かった08年の1年間(16件)を、半年で上回った。健康に害があるかもしれない食べ物を売るなどした事件も22件あり、去年1年間の21件を超えている。
ケン:なぜ、偽装なんかするのかな?
佐々木記者:原因の一つに「値段の差」がある。たとえばの話だけれど、東京のお店での牛肉(ロース)の値段は、輸入品なら百グラムあたり360円だけれど、国産だと875円する(今年4月~7月の平均、総務省調べ)。ウナギのかば焼きは、都内のスーパーで中国産が一串250円なのに、国産(愛知県産)では約七百円というふうに、差があるんだ(漁業情報サービスセンターの8月下旬の調べ)。そういう値段の差を利用して、ズルくもうけようと考えるんだね。警察の調べに、不景気で経営が苦しくてやった、と話す業者もいる。
ケン:取り締まる法律はあるんでしょう?
佐々木記者:みんなが安心して食べ物を選べるようにする法律には、食品衛生法やJAS法がある。たまごや小麦といったアレルギーのもとになる食材や、食品添加物などを表示させたりして、みんなの健康を守るのが食品衛生法だ。
ジャン:JAS法は?
佐々木記者:原材料や産地、内容量など、品質を正しく表示させて、買う人が品物を公平に選べるようにする。両方の法律に共通のルールもあって、賞味期限や保存方法などを表示させている。
ポン:法律を破っちゃいけないんでしょ。
佐々木記者:違反すれば罰もある。食品衛生法は、個人なら二年以下の懲役または200万円以下の罰金。JAS法は、一年以下の懲役または100万円以下の罰金などだ。
ジャン:JAS法は、産地偽装も取り締まるのね。罰もあるのに、偽装はなくならないの?
佐々木記者:JAS法での対応には、段階がある。産地偽装などの違反が見つかると、正しなさいと、まず「指示」をする。それでも改めないと「命令」、それでもしたがわないときに罰則があてはめられる。でも、これまで罰則までいったケースはないんだ。
ケン:えっ? それなら、1~6月までに23件あった偽装事件は、何の法律違反なの?
佐々木記者:ほとんどが商売などでのズルを取り締まる「不正競争防止法」の違反容疑だ。五年以下の懲役または五百万円以下の罰金などの罰則がある。
ジャン:JAS法も、もっと厳しくしたら?
佐々木記者:五月にJAS法の一部が改められた。産地偽装については、指示や命令の段階を踏まないで、ただちに罰を与えられるようになった。個人は二年以下の懲役または200万円以下の罰金と、罰も重くした。
ポン:偽装は減るかな?
佐々木記者:九月に、消費者庁という新しい国の役所ができた。それまで、食品の表示については、食品衛生法の関係は厚生労働省、JAS法は農林水産省と、おもな担当が分かれていたけれど、九月からは消費者庁が中心になってルールを整えたり、見張ったり、相談に乗ったりするようになった。食品表示課の人は「これまでより素早く仕事ができる」と言っている。
ジャン:わたしたちにも、できることはある?
佐々木記者:全国消費者団体連絡会の事務局長、阿南久さんは「食品偽装は許さないというきびしい目を、みんなで食品の会社などに向けていくことが大切です。国も、取り締まる法律がいくつもあるのを、整理して分かりやすくする課題があると思います」と話しているよ。
●きょうのポイント
▽食べ物の産地などをごまかす偽装事件が、2009年1月~6月に23件あった。08年1年間の16件をすでに上回っている。
▽安い外国産を高くて人気の国産品に見せかけるなどのケースが目立つ。
▽取り締まる法律はいろいろあるが、わたしたちも「偽装は許さない」というきびしい目を向けよう。
佐々木潤平記者(朝日小学生新聞編集委員)
提供:朝日学生新聞社
スポンサードリンク